福利厚生
就活はもちろん、アルバイト求人でも目にする「福利厚生」。
何となく、育児休暇や割引制度などが含まれるのだろうと見当はつくと思いますが、企業によって変わるのでいまいちよく分かりませんよね。
でも、就職するなら福利厚生は充実していた方が嬉しいもの。福利厚生とは何なのか、どんなものがあるのかご紹介しましょう。
「福利厚生」とは、企業が従業員に対して支給する給料“以外”の報酬のことです。
対象者は、従業員だけでなくその配偶者や家族、企業によっては退職した人にも適用されることがあります。
福利厚生の目的は、従業員の経済的保障を手厚くすることで従業員の組織貢献度を高めることです。
また、勤労意欲や能率を向上させるという狙いも込められています 。
福利厚生には二種類あり、法律で定められている“法定福利厚生”と企業が独自に定める“法定外福利厚生”があります。
■法定福利厚生
法律で義務付けられている福利厚生は社会保険制度のことです。
社会保険料とは健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険、子ども・子育て拠出金、労働災害保険などを合わせた費用を指します。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 子ども・子育て拠出金
- 労災保険
- 雇用保険
原則として労使折半となり、事業所は半額負担となります。
ただし、健康保険組合では規約によって、事業主の負担分を多くすることができます(事業主が6割負担など)。
労使折半となり、事業所は半額負担となります。
40歳以上の人が加入します。業員の報酬に基づいて算定され、労使が折半して負担します。
子ども・子育て拠出金は、子供の有無に関係なく(独身で子供がいない場合でも)、給料の0.29%が児童手当の財源の一部として収められるものです。
これは事業主が払うものであり、働く側の負担はありません。
社会保険料と一緒に年金事務所(日本年金機構)が徴収していますが、この拠出金の実態は社会保険料ではなく税金です。
※拠出率は変動します。記載のものは2018年度のものです。
事業所が全額負担します。
失業等給付に要する費用は労使が折半で負担しますが、雇用安定事業および能力開発事業にかかる費用は事業所が全額負担します。
■法定外福利厚生
法定で義務付けられていない、企業が独自に行う福利厚生のことです。
住宅手当・家賃補助、運動場やレクリエーション活動の支援、社員寮、法定の介護・育児休業の充実化など、企業が社員に充実した生活を送ってもらうために提供するさまざまな保障・サービスのことを指します。
内容は企業によって様々で、一般的には大企業の方が充実した福利厚生が用意されていますが、経費削減のため内容の見直しや、福利厚生サービスを専門にする企業へのアウトソーシングが利用されるケースがあります。
例)
・住宅手当、家賃補助…家賃や持家のローン返済の一部を企業が負担する制度です。
・交通費…通勤にかかる費用を企業が一部、または全額負担する制度です。
・家族手当…扶養家族がいる場合に生活補助として支給されます。
・医療、健康…医務室・診療所等の運営費や健康診断費、人間ドックへの補助など
・ライフサポート…食費:食堂の運営、食費補助など
被服:制服/作業着/ユニフォーム等の購入やクリーニング代の補助など
介護:介護休職や時短勤務制度、介護相談会の開催など
育児:育児休暇や事業所内託児施設の運営、保育施設の斡旋など
財産形成支援:財形貯蓄制度や持株会、投資教育の提供など
通勤:無料駐車場の用意や社員用バスの手配など
・結婚祝金・出産祝金・入学祝金・傷病見舞金・弔慰金など
・文化・体育・レクリエーション:競技施設運営費・イベント開催費・部活動への補助など
・系列会社、提携会社、社内の割引など
社員の健康や幸福のためにある福利厚生ですが、近年では働く人の減少、高齢化が進み福利費が企業にとって大きな負担となっています。法定福利費は法律で定められているため削減できないので、残る法定福利費を減らすしかありませんが、費用削減によって福利厚生の質を落とすのも良い選択とは言えません。そこで、法定外福利費の無駄をなくすために「カフェテリアプラン」を導入する企業が増えています。
「カフェテリアプラン」とは、社員に一律に与える福利厚生制度を廃止し、カフェでメニューを選ぶように、従業員が好きな福利厚生を選ぶというものです。これなら、福利厚生の質は下げずに経費削減でき、また多様化する働き方に対応できる福利厚生制度としても注目を浴びています。
一般的に「福利厚生が充実している」を指すのは法定外福利厚生です。多い方が嬉しいと思うかもしれませんが、数があればいいというものでもありません。
就職先を選択する際の一つの指針として考慮するのは良いですが、そこに捕らわれないように注意しましょう。