学生資格試験対策

グループディスカッションを知ろう①

 グループディスカッションは、数人のグループで与えられたテーマについて話し合い、
制限時間内に“グループとしての意見”をまとめる選考方法です。その過程で、メンバーがどの
ように議論に参加し、グループに貢献できるかを企業が評価します。書類選考、筆記試験や面
接試験では評価できないコミュニケーション能力や協調性に加え、テーマに対する思考力や発
想力を評価することが目的です。一度にたくさんの人数を選考できるため、一次選考や二次選
考で導入する企業が増えています。
 
グループディスカッションの流れは以下の形式が一般的です。

1.企業側からテーマ、条件、進め方などの発表
2.グループのメンバー(学生)同士の簡単な自己紹介
3.各自、資料を読み込んで個人の意見をまとめる
4.討議開始
5.グループとしての結論をまとめる
 
 面接官は討議の間、口を挟むことはありません。学生ひとりひとりの行動や発言を黙って観察
しています。グループディスカッションでは、討議内容や結論の優劣ではなく、討議中に個々
がどのような行動を取るかを観察しています。見るポイントは企業によって異なりますが、
能力、積極性、チームワーク・協調性、リーダーシップなど、個人の能力を見るのが一般的で
す。そして最も大切なのは、「出されたお題に対して回答を出す為にきちんと役割を果たし、
議論に貢献しているかどうか」です。
 
注意すべきなのは、グループディスカッションは一人ではなく、メンバーで行うのだという
ことです。自分一人が頑張っても、意味はありません。自分が担う役割の仕事をしっかりと行
いながら、メンバー全員で高評価を得られるように心がけましょう。
 
出されるテーマはいくつかのパターンに分けられます。
 
 
1.課題解決型
 
 課題解決型では、物事を論理的に考える力が必要とされます。例えば「売り上げを2倍にする
方法は?」「若者の投票率をあげるには」など、具体的な解決方法を導き出すことを目的として
いますので、現状を分析して問題点を洗い出すことと、それに対する実現可能な解決策を提案す
ることがポイントです。問題が起きた原因を把握し、数値データも駆使しながら根拠のある解決
策を提案する力も問われます。
また課題解決型のグループディスカッションでは、制限時間内に発表をまとめ、最終的に発表す
るアイデアの質も問われます。充分に討論をしたにもかかわらず、シンプルな結論になることが
多々あるでしょう。評価されるために奇抜な意見を出す必要はありませんが、できるだけオリジ
ナルな意見で議論を進めていくのが理想です。
 
 
2.自由討論型
 
 一つのテーマが与えられ、それについてグループで自由に話し合っていく形式です。
「○○の規制緩和について」というような専門的なテーマや、「学生と社会人の違いは?」といっ
た一般的なテーマなど、答えが決まっておらず、基本的に答えのない問題について自由に討議し
ます。自由にディスカッションできる反面、抽象的なテーマが与えられることが多いため、話が
逸れてしまう傾向にあります。グループのメンバーは育ってきた環境やこれまでの経験によって、
考え方や価値観は全く異なりますので、話がぶれないように、しっかりと定義付けすることが重
要です。
また、具体的なビジネスの問題について話すわけではないので、「思考力」はあまり重視されて
いません。どちらかといえば「しっかり意見を言えるか」「チームワークを重視できるか」のよ
うな基本的な資質が見られています。
 
 
3.二択型(ディベート型)
 
 二択型は、「築地市場の豊洲移転に賛成か反対か?」のうようにテーマについて賛成派と反対派
で2つのグループに分かれ、意見をぶつけ合う形式のディスカッションです。自分で好きな意見を
選べることもありますが、企業によっては面接官が強制的にグループを分ける場合もあります。
このタイプのディスカッションは、対比する二つの意見を交換していくため、自己主張の押し
付け合いになってしまうことがあります。勝つことに意地になってしまい、主張することばかり
に意識が向いていると、自己中心的な人だと思われてしまうので要注意です。
「論理的に意見を述べられるか?」「相手の論理の穴を見抜けるか?」「チーム内で上手く論理
をまとめられるか」が見られています。より「論理思考力」に重きをおく選考形式と言ってよい
でしょう。相手の意見をしっかりと受け止める、グループのメンバーが責められていたらフォロー
する、というように周りにもしっかりと目を向ける意識を忘れないでください。
 
 
4.選択型
 
 選択型のグループディスカッションとは、複数の選択肢から最終的に一つに絞る(または順位
をつける)ための話し合いを行なっていく形式です。
テーマに関しては難易度の幅が広く、誰でも意見が出しやすいような易しいものから、専門的な
知識を求められるものまで様々です。それぞれの選択肢のメリットとデメリットを洗い出し、
目的と選択基準を明確にした上で取捨選択することがポイントとなります。
このタイプは、チームの中で上手く合意案を出す過程が見られますので、グループの意見をいか
にまとめることができるかが重要です。
合意形成能力を試されているので絶対にやってはいけないのが多数決です。多数決ではなく、
全員が納得する着地に持っていきましょう。
ポイントは「目的を達成するために、重視するべき選択基準」を議論してから決めるのです。
選択基準が決まっていれば、スムーズに合意形成が可能です。
 
 
 グループディスカッションは4~8人程度でおこないますが、その中で何人が選考を通過すると
決まっているわけではありません。グループディスカッションで、最初に落とされる可能性が高
いのは、発言がほとんどなく討議に参加する姿勢の低い人です。
また、対人能力の低い人や協調性が乏しくチームワークを乱す行動を取る人もマイナス評価にな
ります。具体的には、メンバーの意見を聞かない、自分の意見を押し通そうとする、感情的・攻
撃的になる、場を混乱させる、メンバーを否定したり見下したりする発言などが該当します。
また、「グループディスカッション」は討議・討論であり自分の意見の正当性を論じる場ではな
いという事を忘れてはいけません。自分の意見を持っているというと聞こえは良いですが、意見
を押し通そうとする姿勢は和を乱し、審査員に悪印象を与える原因になりえますので、注意が必
要です。

 聴く態度や同調を示す態度などを見られるケースも多くあります。
逆にプラス評価となるのは、周囲のメンバーに注意を払って働きかけたり(発言の少ない人に意
見を言うよう促すなど)、常に最終目標を意識してスムーズに討議を進めようとしたり(論点が
ずれた時に修正するなど)する人です。主に、前者は対人能力やチームワーク・協調性、後者は
リーダーシップや積極性が高い人と評価されます。
 
 
 ディスカッションは審査の対象、つまり「見られる場」です。
以下の点に注意して、メンバーだけでなく審査をしている社員にも伝えられるよう努めましょう。
 
・ゆっくりと、大きな声で話す
早口で、もしくは小さな声で話しても、相手に伝わらなければ意見を言ったことにはなりません。
周囲でチェックしている社員に聞こえなければ評価も下がってしまいますので要注意。緊張して
いると早口になりますので、ゆっくり過ぎると思うくらいのスピードでしゃべってみましょう。
“相手に伝える”という意識も大切です。
 
・論理的に簡潔に話す
大きな声で話しても、論理的でなければ相手は理解できません。また、ダラダラと複数の意見を
羅列しても混乱するだけで、結果「何を伝えたいのか分からなかった」という事にもなりかねま
せん。あれもこれもと欲張らず、シンプルを心掛けましょう。
 
・笑顔で身振り手振りを使って話す
真剣だからと真顔で話しても、良い印象にはなりません。柔らかな笑顔で、身ぶり手ぶりを使っ
て話しましょう。
 
・使える道具は使う
ホワイトボードや紙など、文字や絵で示しても良いでしょう。わかりやすく自分の意見を伝える
にはどうすればいいのか、与えられた状況の中で何ができるのか考えましょう。

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